アイルランド留学と貿易のニチアイブログ

アイルランドで留学と貿易を続けて20年あまり、ニチアイの現地在住スタッフがコーク市からお届けする、アイルランド情報ブログ。 現地在住エージェントならではのニュースを発信します。

2023-06

★ ニチアイについて ★
  ニチアイは、アイルランドに本社を置く留学・貿易を扱う会社です。留学部門では特色ある語学学校と提携、アイルランド留学ワーキングホリデーイギリス留学マルタ留学を扱い、日本での説明会も行っています。貿易分門では年末ギフトとしてアイルランド特産のスモークサーモンを毎年日本にお届けし、好評を得ています。そんなニチアイのホームページはこちら

コロナ長期休校でも語学学校は何故潰れないか

コロナウィルスが世界的に広がり、欧米でロックダウンが始まったのは、3月ぐらいです。それからしばらくして、イギリス、アイルランド、カナダなど、いくつかの語学学校閉校のニュースがありました。これからも続々と来るかなと身構えていたのですが、以後はそういうニュースは聞かなくなりました。語学学校は、小売業や飲食業以上にロックダウンの影響を大きく受けています。しかも学校の校舎がある場所の多くはその都市の一等地。ビジネスを常に回転させていかないと厳しいはずです。それでも多くの学校が潰れずに持ちこたえており、近々の再開校に備えています。

ちょっと刺激的な変なタイトルにしてしまいましたが、アイルランドについて具体例を挙げながら、このテーマを取り上げてみたいと思います。

アイルランド語学学校

アイルランド政府認可校の大多数が加盟している、MEI(Marketing English in Ireland)という業界団体のサイトに7月3日に掲載された記事によれば、2020年の語学学校業界の収入は、前年比80%減という予測だそうです。そして、その窮状を伝え、政府のさらなる支援を訴える内容となっています。業界向けの記事ではありますが、一般の方も問題なく読めますので、興味がある方は英語読解を兼ねて挑戦してみて下さい。

 MEIのサイト http://mei.ie/

人口500万弱、GDP3500億ユーロのアイルランドにおいて、語学学校業界の貢献度は、直接的な数字としては特に大きくありません。年間学生数15万人、経済効果は少なく見積もって880万ユーロ、雇用面ではフルタイム3000人、パートタイム7000人、加えて約3万世帯のホストファミリー、といったところだそうです。これらの数字は語学学校が直接生み出すものだけなのか、関連産業(観光、飲食、交通機関など)も含めてかは不明ですが、いずれにせよ、関連産業を含めれば、それなりの経済貢献をしていることは疑いありません。

MEIの最近の記事では、そういった所の説明から始まって、それがどのような危機に瀕しているか、放置するとどうなるのか、どういった対策が必要か、など、具体的に記述されています。

はっきり言えば、今、多くの語学学校で、現金はかなり枯渇していると思います。しかし、学校が再開され、新たな入金があれば、また回り出すでしょうし、それで何とか危機を乗り切るべく、ほとんどの学校が踏ん張っています。今はおそらくまだそういう希望が持てる段階です。

コロナの初期に閉校した学校は、もともとそれ以前から経営その他問題のあった所とか、経営者が引退のタイミングを考えていた学校などで、コロナだけが原因ではないと思います。そういう少数の例外を除けば、4ヶ月近い閉鎖でも持ちこたえているわけです。個々の学校の内情まではわかりませんが、一般的に言えば、倒産レベルではない、ということです。

アイルランド語学留学

しかし、問題はこれからです。やっと再開が決まったので、危機のピークは過ぎた、と思われますか?MEIの記事を読んでも、そう言い切れない事情が見えてきます。だからこそ、これからが正念場、政府はもう一歩踏み込んで長期的な財政支援等を考えてほしい、と言っているわけです。

再開が決まりかけている今のタイミングなのに、何故これからの方が危ないのか、色々な理由を箇条書きにしてみます。


・休業中は一時解雇するスタッフの人件費補償を始め、多くの政府補助があったが、再開するとそれらの多くがなくなる。
・語学学校は前払い業界なので、授業その他が止まっても通常数ヶ月分の回転資金はある。それがそろそろ尽きる。
・語学学校の多くは春から夏、とりわけ夏のジュニアを最大の収益源としているが、今年はその部分がほぼゼロ。
・語学学校の年間サイクルでは、春から夏に稼いで秋以降にイヴェント参加などマーケティングにお金を使うが、今年はそのマーケティング予算が残っていない。
・再開しても以前の学生数がすぐに戻ってくるわけではない。
・ソーシャルディスタンスその他のコロナによる新たな規則(再開の条件)によって、保健衛生面での追加コストがかかったり、教室のクラス定員を減らさないといけなかったりする。
・オンラインレッスンを導入した学校の一部は、(本国に帰国して受講している学生もいるので)教室での授業を再開してもオンラインもすぐにやめられず、結果的に二重の手間と出費になる。


他にも細かいことは色々あるでしょうが、こうしてみると、生き残る学校、危ない学校というのも何となく見えてきます。また、当社は休業中も色々な学校の色々な立場のスタッフとメールでやりとりはしており、一部で本音や裏話も聞けましたので、それらの感触も含めていくつか書いてみます。ただ、個々の内情まではわかりませんから、以下は鵜呑みになさらないで下さい。

・家族経営の小~中規模校で、校舎も賃貸でなく所有で、さっと閉校してオンラインレッスンもやらず、経営者ファミリーメンバー以外の先生やスタッフは全て一時解雇しておとなしくしていた学校は、この危機に対して意外と強そうです。
・特にダブリンに多い、狭い校舎に定員いっぱい詰め込んでブラジル人など就労目当ての学生を集めて常に満員で回していた格安校は、いくつか倒産や廃業になるでしょう。
・歴史と伝統のある中堅以上のしっかりした学校は、多くがギリギリのところで踏みとどまって、数年かけてリカバリーすると思います。こういう学校は概して社会的信用も高いので一時的な融資も受けられやすい筈です。
・国際展開しているチェーン校は、もともとの授業料が高いし(口の悪い人がぼったくりというレベル)、不採算校の閉鎖などで全体組織として乗り切れるので、潰れることはないでしょう。


アイルランド留学とコロナ

最後にオンラインレッスンですが、前の記事にも書いたように、オンラインレッスンをやる以上はそこでまた少しでも収益を上げようと必死でマーケティングしてきた学校がいくつかあります。割合としてはさほど多くありません。当社も一時、何とか売ろう、というか、売るべきかと悩んで、少し宣伝してみましたが、やはり結局無理でした。既に現地にいて学校閉鎖となり仕方なく受けた日本人留学生の複数の方から感想を聞きましたが、皆さん大体、こんなコメントです。

・最初はシステムも内容もひどかった
・徐々に改善されて先生も慣れてきて、一応勉強はできた
・新たにお金を払ってまで続けたいとは思わない


オンラインを中途半端にやって学校としての評判をむしろ落としてしまった所もありそうなのは、やむを得なかったとはいえ、残念ですね。あとは、経営者の方針か営業スタッフ個々の資質の問題ですが、オンラインの宣伝を派手にしてきた学校は、何というか、二枚舌で、当社のようなエージェントにもあまり良い印象を持たれず、長い目で見て損した所も多いのではないでしょうか。いや、そういうその時々の宣伝文句に乗せられてしまう人も多いから、それでいいのかな、という気もしますが、これは受け取る側も千差万別なので、何が正解かはわかりませんね。とはいえ当社としては、いつ教室での授業が再開するのか、以外のことは大して興味がないのに、頻繁にオンラインコースのニュースレターを、いい事ばかり書いて送ってくるようなタイプの学校には、概して良い印象は持てませんでした。

コロナ閉校下のオンラインコースセールス合戦

コロナウィルスの拡散により、欧州ではどの国も学校が閉鎖されており、具体的な再開の見通しが立たない状況です。そんな中で今、当社のようなエージェントには、各学校からかなりの勢いで、オンラインレッスンの売り込みメールが来ています。正直、うんざりするほどです。

当初は既に現地にいる学生の救済的な意味合いでのオンラインレッスン導入でしたし、今もその範囲で運用している学校も少なくありません。しかし、いくつかの学校は、この機会を利用して、オンライン留学を新たな商品として売り込んできています。教室での授業ができない期間の売り上げ減を少しでも補い、先生に仕事を与えるという意味で、経営努力という見方もできるでしょう。そうして少しでも売り上げを立てないと経営が厳しいのか、しばらく学校を閉じても何とかなるけれど商魂たくましくチャレンジ精神旺盛な学校なのか、まあ、事情も学校それぞれだと思います。

もちろん、皆、楽ではないでしょう。当社も例外ではありません。しばらく留学の売り上げがなくなるわけですから、少しでも何かで稼がないといけません。しかしだからといってオンライン授業を新たにお金を払って受けて下さる方がどれだけいらっしゃるでしょうか。もちろん興味がある方はお問い合わせその他、歓迎します。ただ、難しい点が沢山あります。本ブログでそんな現状を少しお伝えしたいと思います。

語学学校のオンラインコース

言うまでもなく、語学力さえ伸びれば手段は問わないという方であれば、そもそもヨーロッパという遠くて高い所まで留学に来なくても、他に色々な方法があるわけです。留学して教室で授業を受け、午後や休日は友達と遊んだり観光したりして現地で生活する、だからこその留学であって、オンライン学習はそれとは別物です。

具体的な目標がある方、例えばIELTSの点数を秋までにここまで上げないといけないので留学を考えていたけれど、行けなくなってしまった、というような方であれば、そういう目的に合ったオンラインコースを探してみるのもいいかもしれません。しかし、現地に滞在することこそ留学の醍醐味だという多くの方にとっては、オンラインコースでは代替にはならないでしょう。

それでも、情報を集めてみると、最近のオンライン学習はシステムもかなり進んでいて、アプリのダウンロードなどは必要ですが、それでネット環境とパソコンさえあれば、パソコン画面を通じて多角的に、先生や他の学生の顔を見て声を聴きながら、実際に授業が受けられるのです。抵抗ある人もいるでしょうが、面白そうだという方もいらっしゃるかなとは思います。こうなってくると、オンラインレッスンでも、日本人比率の高い学校は避けたいとか、そういう事まで出てきそうです。

とは言っても、当社が今、そこまで積極的に売ろうと思わない理由は、まず第一に、あくまでコロナウィルスが終息するまでの一時しのぎという要素が強いので、短期間なら、その間、我慢していてもいいからです。学校の授業が再開されても、オンラインコースも並行して販売すれば売れる時代になり、今後はそちらが伸びていく、そういう可能性もなくはありませんが、逆に、長い目で売っていくなら、今、コロナのせいでにわか作りで急遽できたシステムを使うより、もう少しじっくり構えて様子を見たい気もしますね。

留学初日に自分がクラスに入って行く時のちょっとした緊張感は、留学された方は誰もが味わっていると思いますが、例えば今、日本から現地の学校のオンラインレッスンを受けようとすれば、やはり現地時間の朝9時などにパソコンを開いてログインして、パソコン上で授業にリアルタイムで参加することになります。実際の教室に入るのと、皆さんはどちらがより緊張すると思いますか。個人差もあると思いますが、むしろオンラインの方が緊張するという方も結構いらっしゃるのではないでしょうか。

しかしどちらにしても、現地に行って教室で受ける授業の疑似体験はできますが、やはり留学経験そのものではありません。学校もそこはわかっていて、新規申し込みは教室での授業より安くしたり、登録料や教材費も無しで1週間から申し込めてお試しで受けられるようにしている所も多いです。ですので、留学に行くつもりだったけどコロナで無期延期になってしまって、日本でも外出制限で遊びにも行けないので、という状況なら、とりあえず1週間、お試しで受けてみてもいいかもしれません。行くつもりだった学校がそれをやっているなら、その学校でいいでしょうが、ただ、既に申し込み済みの方だと、教室での授業を受ける代わりとされてしまうケースもありますから、ご注意下さい。一つのポイントとして、ヨーロッパの朝9時からの授業を日本から受ける場合は、日本時間の夕方から夜だという点で、これが好都合な方なら良いと思います。

語学学校のオンラインコース

とはいえ現状は、というと、問題も多発しています。

学校もやる以上は少しでもということで、学生獲得のため努力をしていますから、エージェントへの売り込みの宣伝文句も商売上手で、「既に受けている学生の評判も良くて、お金を払って延長を決めた人もいます」など、いい事ばかり書いてくるわけです。ところが当社を通じて留学されている方にオンラインレッスンの様子を聞くと、「こういう時だから仕方なく受けているし、思ったほど悪くはないけれど、わざわざ新たにお金を払ってまで延長して受けたいものではない」といった感じのコメントが大半です。

そんな折、ロンドン発行の留学業界誌の最新号でこの問題が取り上げられており、実際の満足度は10%に過ぎないというシビアな分析もありました。

まあ、今はそうでしょう。コロナが発生して突然学校が強制閉鎖され、スタッフが打ち合わせしてしっかりしたものを立ちあげる余裕もなかったのです。そんな中でも努力してオンラインコースを立ち上げて学生に提供し、日々改善している姿勢には感銘は受けますが、しかしいくら学校が頑張っていても、学生が払ったお金の分の価値がないと思えばそれまでで、当社もそういう商品はお勧めしたくありません。実際、今、日本人学生の方の意見を聞いてみると、コロナ発生でにわか作りで立ち上げたオンラインレッスンは、教室での授業と同じ価値はない、という意見の方が多いです。もちろん、学生も家から出られないこんな大変な時にでも勉強を続けられるシステムを作ってくれてありがとう、と感謝する人も少なくありません。しかも教室での授業の続きですから、既にお互い知っているクラスメートや先生とパソコン画面で再会できるわけです。これはこれで楽しいかもしれません。今、受けている方々は、これから申し込む方とはそこが違います。しかし同時に、今、受けている方々は、教室での授業と直接比較してしまいますし、そうすると、同じ授業料ならこれは価値が・・・となっているのが現状偽らざる所です。

そして、十分な準備期間もなくスタートした点で、色々な不備もあり、先生もシステムの扱いからして慣れていないとか、先生がコロコロ変わって引継ぎもなされていないとか、クラスの人数が多すぎる、などなど、様々な不満も出ています。

コロナがきっかけで語学に限らず、オンラインでのグループ授業が色々な所で進化するとは思いますが、現実はまだ黎明期です。そもそもコロナの前まで、語学学校は、現地に来て下さい、教室で、ホストファミリーで、アクティビティーで、国際交流をして生活して・・・と一生懸命売り込んでいたわけです。「英語力を上げるだけなら日本でもできますから」とでも言えば「現地に実際に来ることの意味はそれだけじゃないでしょう」と、たちまち反論して、「実際に来ることでかけがえのない体験ができますから来て下さい」と少し前まで宣伝していた学校のマネージャー。その同じ人が、今は「うちのオンラインコースはこんなにいいですよ、日本からでも受けられますよ」と宣伝しているわけです。

このブログを読んで、そんなに値段も高くなくて1週間から受けられるなら、試してみたいという方がいらっしゃれば、お気軽にお問い合わせ下さい。どの学校が良いか、お勧めか、というのは、まだ当社でも比較判断するだけの十分な材料やフィードバックは持ち合わせていません。それでも通常の留学相談同様、皆様の希望をお聞きしつつ、学校とも連携を取り、手数料無料で手配させていただきます。

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イギリス語学学校60校料金更新に際して外した学校

イギリスは都市の数も多く、学校も多いのに、日本ではごく一部の都市しか紹介されていない・・・現地を回るたびに、そんな思いが強くなります。しかし、そう思ってマイナーな都市のマイナーな、しかし良さそうで日本人もほとんどいないような学校を発掘して紹介しても、なかなか興味を持っていただけないジレンマもあります。加えてニチアイは、やはりアイルランド留学がメインだろうと思われていて、イギリス留学はお問い合わせ自体、あまりいただけません。実際にはこれだけイギリス現地をくまなく回っているエージェントさんは他にそうそうないと思うのですが・・・

そういう状況の中で、学校数ばかり増えていき、毎年1回の料金表改訂も追いつかない状態が何年も続いていたのは事実です。しかし今年は一念発起をしまして、3月22日をもって、イギリスの当社サイトイギリス語学学校ガイド掲載全60校(北アイルランドを含む)の料金を全て2020年版に改訂が完了し、料金比較表も久しぶりに更新しました!

イギリス留学

こうして沢山の学校の料金をとりあえず更新はしましたが、本文その他も古いまま放置してある所もありますので、その他の内容もできるだけ更新していきたいと思います。そんな中で、せっかくページを作ったし、学校は存続しているけれど、掲載をやめて外そうか、と思う学校も、実はいくつかあります。ニチアイが大事にしているものに、留学体験談があります。体験談が一つでも掲載されていると、外しづらいので、まだ体験談掲載のない学校で、今ひとつ積極的にお勧めしたい気持ちになれない学校を、こっそり外すことは、ごく稀にやっています。その場合は告知も何もせず、痕跡なく消してしまうわけです。

今回、結局1校だけ外しました。都市名も学校名も書きませんし、ご質問いただいてもお答えしませんが、語学留学先としては比較的知られた都市にある学校です。10年ぐらい前に当社から行かれた方が複数名いらっしゃいますが、体験談はどなたからもいただいていません。ただ、あまり良くなかった、という印象です。ただとにかくだいぶ昔の話です。

学校はその後、校舎が移転しました。前より大きくなったようです。オーナーの方は変わっていません。家族経営です。とにかくそうして発展しているようだし、昔は昔として、もう一度訪問して再出発、という選択肢はずっと考えており、外さずにいました。ただ、なかなか訪問が実現できずに時間ばかり経ってしまいました。ですが昨年、とあるエージェント・ワークショップというイヴェントに、その学校が珍しく参加しており、面談の機会を設定できました。

しかし、その面談が少し残念だったので、結果、再出発ではなく、外す決断をするための踏ん切りがついたというのでしょうか。ワークショップでの話の内容です。

「覚えていないと思うし、今さらこんな事を言うのも何けれど、当社から10年ぐらい前にお送りした学生さん2名のフィードバックが、残念ながら今ひとつだった、一人は学生の性格にも少し問題がある感じだったので、私としては学校が悪いとは思っていない。他の一人は留学経験豊富で色々な学校に行っている人で、そのコメントが、ホームステイ先が良かったけれど学校の授業内容はそうでもないというコメントだった。そういうこともあり、長年次の学生さんをお送りできないでいた。しかし学校も移転したようだし、昔の話だから、今日、今の学校の状況をお聞きして、近い将来訪問もして、継続していきたいと思っている。」

雑談の後、こういう風に伝えたら、この女性のオーナーの方、残念ながらみるみる顔色が変わり、かなり感情的になってしまいました。こちらも抑制しつつ率直に話したつもりですし、このレベルの話は、他校との間でも時たまします。多くの場合、何が悪かったかもっと詳しく聞きたい、改善したい、何はともあれその学生には申し訳なかった、というような反応が返ってくるものなのです。しかしこの方の反応は、それなら他の学校に学生さんを送ればいいじゃないか、うちのような家族経営の学校はこことここだから、と、同じ町にある別の学校名を挙げてきたのです。さらには値段の話になった時に「でも安かろう悪かろうでやりたくないし、ちゃんと儲からなければ苦労して語学学校経営なんかする意味ないでしょ」というようなことを言われました。この最後の一言で、これはビジネスの継続は厳しいかな、と感じた次第です。ちなみにこの学校は日本人学生もほとんどおらず、他の日本のエージェントさんにもほとんど目をつけられていない隠れた学校の一つだと思います。もちろん今も存続しています。まあ、都市で選ぶ人がいるとしても、その都市には他にも学校がいくつもありますので、総合的に判断し、2019年の料金を今回2020年版に更新せず、当社サイトからは完全に外しました。

テーマ:イギリス - ジャンル:海外情報

コロナの影響で早くも旅行会社と語学学校が破綻

コロナの影響で学校が潰れるのでは、という心配が早くも現実になりました。ただ、こういうニュースを一つ聞くと、続々と出てくるのではと不安になる方もいらっしゃると思うので、背景を含めてご説明します。

ロンドンとダブリンに校舎を持つ語学学校「ザ・イングリッシュ・スタジオ」が、この週末に「会社整理」というニュースを流しました。ただ、ここは組織が少し複雑で、もしかしたらこちらの方がショックと思う方が多いのでは。それは、アイルランドの学生向け旅行会社「ユージート・アイルランド」が実質倒産。これらはどちらも同じオーナーのグループ組織で「キンレー・グループ」という企業に属します。グループ全体で資金繰りが行き詰まったことで、こういう決断に至ったそうです。ユージットは60年もの歴史を誇る老舗旅行会社であり、語学学校の方は先行のロンドンも1997年設立と、比較的新しく、ダブリン校はさらに最近オープンした「ロンドン本校の分校」的な学校でした。


ザ・イングリッシュ・スタジオ・ダブリン校
一等地にあったザ・イングリッシュ・スタジオ・ダブリン校

語学学校としては、ロンドンもダブリンも、最安値の授業料を表に打ち出した「格安校」でした。経営者の方針が「認可校中の最安値」の維持だったそうです。その方針はダブリンもロンドンも一緒ですが、ロンドンとダブリンでは、学生がアルバイトができるかどうかの違いがあります。

ロンドン校は日本人学生も常時結構いますし、当社からも過去何名か「できるだけ安い所を希望」という方をお送りしました。格安と割り切れば、その中では良い学校だったのではないでしょうか。

ダブリン校は少し前に見に行きましたが、結局当社サイトに載せたいと思うほど魅力を感じなかったので、学校見学までしたにもかかわらず載せておらず、個別紹介で対応、と考えていました。もともとダブリンは学校が多すぎる激戦区ですから、片っ端から載せていてはキリがないので、最近は新規訪問した学校の半分は載せていません。この学校については、加えて現地に長い留学生から聞こえてくる評判も今ひとつでした。行った時の印象も、賑わってはいましたが、通路やレセプションエリアで聞こえてくるのはポルトガル語とスペイン語ばかりで完全野放し。そういう学校ではありました。アルバイトができるアイルランドゆえ、ロンドンと違い、アルバイト目的の学生ばかりが集まってしまいやすい構造にあるわけです。

ちなみに今、ダブリンには政府認可がなく、ILEPの登録だけという格安校が沢山あります。これらの殆どは、過度に南米マーケットに依存しています。つまりアイルランドは長期学生ならアルバイトができますので、そちらが主目的で来る学生にとっては、授業料は安ければ安いほどいいわけです。それでも政府認可がないのは不安、という人は、もちろん南米にも大勢いて、この学校はそういう層に特に人気があったようです。しかし今年1月、この学校はILEPの登録手続きに何か瑕疵があったらしく、報道によれば「一時的に」という説明ですが、とにかくILEPリストから外れていました。そうなると90日を超える長期学生が外国人登録できず、当然学生はアルバイトもできません。ILEPはそこまで難しい手続きではないので、ちょっとした手続き上の問題なのかと思っていましたが、アルバイト目的の学生ばかりを最安値で集めてフル回転させて教室を常に満員にしているこういうタイプの学校は、一時的であっても、それが途絶えると致命的です。そこへ来て今回のコロナ。


ユージット・コーク店
イングリッシュ・マーケット近くにあったユージットのコーク店(写真左)

グループ企業の中では旅行会社と語学学校ではどちらが本業なのか、売上や利益の割合はどのぐらいなのか、詳しくはわかりませんが、もしかすると旅行会社「ユージット」の方がコロナのダメージが大きかったのかもしれません。それでもコロナ発生からこんな短期間で起こったということは、もともと他に潜在的な問題があったのかもしれません。アイルランドでは「ユージット」は、国際学生証発行などもやっている旅行会社で、長期学生の方にはご縁のある旅行会社でした。いずれにしても、コロナがきっかけで歴史ある学生旅行社が系列語学学校と共に消えてしまいます。

テーマ:アイルランド - ジャンル:海外情報

コロナウィルスと語学学校現況

少し前まで、まさかこんなことになるとは想像すらできなかった、コロナウィルス問題。欧州での急速な感染拡大に伴い、そしてWHOのパンデミック宣言が決定打となり、各国とも自衛・防御のため、大胆な措置を相次いで発表しました。

グレートアイランド・カスキニー

その一環として、幼稚園から大学まで、全ての学校を一時休校。これには語学学校も含まれます。今、決まっている具体的な強制休校期間は以下の通り。

アイルランドの語学学校 3月13日~3月27日
マルタの語学学校 3月16日~20日 (但し3月13日からという告知も相当数あり、入り乱れています)
キプロスの語学学校 3月16日~20日

イギリスは、ジョンソン首相が休校しない方針を打ち出しているため、殆どの語学学校は引き続き授業を続けていますが、上記3国は、政府による強制命令ですから、独自判断で学校を開けて授業を行うことはできません。ただ、学校に学生が立ち入れないだけで、自宅勤務が推奨はされているものの、法的に事務員などの出社自体はできるので、将来の申込手続き等は普通に進んでいる学校も多いです。

とはいえ、留学を考えていた方も、この状況を目の当たりにして、予定通り進めるのを躊躇される方が多いと思います。

アイルランド、マルタ、キプロスの島国3国に関して言うと、イタリアはもとより、フランスやドイツなど欧州大陸諸国や、日本あたりと比べても、人口当たりの感染者数はまだまだ少ないです。今現在で言えば、皆さんも日本にいるよりアイルランドやマルタに居た方が安全だろう、ということが、確率学的には言える、そういう状況です。ただ、これも刻一刻と変わっていますので、先のことはわかりません。ですがともかく、これら島国3ヶ国の現時点での休校措置は、予防的意味合いが強いようです。

しかし、国内で感染が広がらなくても、周辺国でさらに状況が悪化すれば、この休校措置の延長、そしてそれ以外の措置も取られる可能性はあるでしょう。最悪は空港閉鎖を含む海外との交通遮断で、そうなると、新規で留学しようと思っても、物理的な到達すらままなりません。

この状況に至り、既に申し込んで航空券も購入済で渡航直前の方とか、既に現地にいらっしゃって急な休校に戸惑っている方とか、その他色々だとは思うのですが、とりあえず学校側がこの休校措置にどう対処しているか、です。当社にも、12~13日の2日間で、30校ぐらいからニュースレターその他の形で情報が届きました。

見ると実にまちまちで、「不可抗力で学校に責任はないので、出席には影響しないが、休校、代替措置無し、返金なし」という学校すらあります。これは大体、格安校の対応です。割と多いのが、何らかの形で登校しないでできる「オンライン授業」「スカイプレッスン」などに切り替えている学校です。これは政府もこれからの時代の学び方の一つとして推奨しているようです。その対応ができる学校は、それをもって授業としているようです。しかし必ず「オンラインレッスンでは意味はない、現地に来て教室で直接授業を受けることにメリットがあって来たのだ」という不平不満を言う人は出て来るでしょう。オンライン授業ならわざわざ高いお金を払って時間を使って来る必要なく、日本で受ければいい、それは当然です。ただ、当初からの意図ではなく、非常事態のやむを得ぬ措置なので理解して欲しい、というのが、学校などの側からの言い分です。

コーク

心配なのは、これが長引くと財政余力のない学校が潰れていくのではないか、というのもあります。他方で余裕のある学校の一部は、留学生の希望に応じて柔軟な対応をしてくれることが期待できます。オンラインレッスンをやっていても、受けたくなければ、休校期間分の授業は後ろに回すとか、帰国を延ばせない人なら午後の授業や個人レッスンを追加してもらうとか、希望に応じてそういった対応をしている学校も実際にあります。返金はどの学校でも最後の手段で、学校には責任がないということで、簡単には受け入れてもらえないケースが多そうです。これから到着予定の方については、延期については無条件で受け入れる学校が割と多い感じです。

何とも大変なことになってしまいましたが、いつまでも続くことではないと信じて、皆さんお互いこの危機を乗り切りましょう。

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